2020年6月22日 第1刷発行
著者:柿内 尚文(かきうち たかふみ)
発行者:斉藤 龍男
発行所:かんき出版
【著者紹介】
編集者。1968年生まれ。東京都出身。聖光学院高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。その後、ぶんか社、アスキーを経て現在、株式会社アスコム取締役編集局長。
長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1,000万部以上、10万部を超えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。特に実用書のジャンルでは数々のヒットを飛ばしている。
現在は本の編集だけでなく、企業のクリエイティブコンサルティングや事業構築のサポート、公演やセミナーの講師など多岐にわたり活動中。
(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★☆ |
お役立ち度 |
★★★★☆ |
何度も読み返したくなる度 |
★★★★☆ |
毎朝毎晩、底冷えする日々がやってきましたね。
とはいえ、晴れた日の日中は良く晴れて、爽やかなな気候です。
絶好の感想文日和&ウイスキー日和ですw
寒くて乾燥した日が続き、コロナ罹患者も増えてきました。
今一度、自衛対策をしっかりして、これ以上の感染拡大を防止したいところですね。
いよいよ来週には、診断士2次試験の論述試験の結果発表があります。
楽しみなような、もっと後でイイノニ!という気分にもなるような、複雑な心境です。
できるだけ仕事に精を出して平常心で過ごしたいと思います。
それでは、今週の1冊です。
アマゾンでウロウロしていたところ、目に付きました。
中身を立ち読みで確認できないので、他者のレビューを頼りに探していましたが、これは中々の当たりでした。
今もいくつか気になった点がありますが、きっと、何か新しいことを考える時や迷った時に、良い指針になってくれる本だと思います。
現時点で気になった点を3点ご紹介致します。
何か新しいアイディアを考えなければいけないが、良いアイディアが浮かばない。
進め方に問題が生じて解決しなければいけないが、どうすれば良いか思いつかない。
こんなこと、よくありますよね?
私自身、なにかアイディアの取っ掛かりがあって、それを分析したり整理したり、さらに良いアイディアに練り上げたりすることは得意です。
しかし、「ゼロからイチを生み出す」ということがどうにも苦手で、この分野が得意な人を羨ましく思います。
そして、「ゼロからイチを生み出す」人は特殊な才能や才覚があって、自分は苦手なんだと思っていました。
しかしながら、本書ではこの考え方を真っ向から否定しています。
「何かを考えているようでも、実は『迷っている』だけで、本当に『考えて』はいないケースが多い」
「『考える』ということは、技術であり、後天的に身に着けられる」
と、本書には書かれています。
また、楽しく幸せな人生を送りたいと思っていても、中々思い通りに行かない人の要因は、
環境・能力・意思ではなく、
思考のクセ
が原因であるとも書かれています。
例えば、
「自分には大切な家族がいるから、好きなことはできない」
と考える人。
これは
「家族がいる」
↓
「家族を養わないといけない」」
↓
「嫌な仕事でも辞められない」
とか
「好きななことで食っていける人は特別な人」
↓
「自分にはそんな能力はない」
↓
「自分には無理」
という思考のクセがあると思われます。
しかしながら、考える技術をマスターすると、以下のような思考プロセスを起こすことも可能です。
「家族がいる」
↓
「家族には、嫌々ではなく自分が楽しく生きている姿を見せたい」
↓
「それを見て家族も喜んでくれる」
「好きなことで食っていける人は幸せな人」
↓
「自分も幸せな人の仲間入りしたい」
↓
「どうしたら好きなことで食っていけるか考えてみよう」
このようにプロセスを変更し、具体的な行動プランを考え、実行していくという変化が起こせるはず、と本書には書かれています。
確かに、考える技術を学ぶ前に思考プロセスから「考えること」を放棄してしまっては、そもそも考えることが始まりませんね。
まずは、「諦めずに考えることを始める」から始めるべきですね。
〜 To Do 〜 |
考えることは技術。学ぶことが出来る。まずは「考えることを始める」プロセスを意識する。 |
先程も書きましたが、私は、アイディアは「浮かんでくるもの」だと思っていました。
何かアイディアを考える時は、ひたすらそのことについて悩んだり思ったりして、思考をあちこちに飛ばしている時や風呂に入っている時に、「降りてくる」ように頭の中にパッと閃く。
そして、自分はこの能力が弱いので、ごくごくたまになら新しいアイディアが浮かぶのですが、基本的にはゼロからイチを生むアイディアは出てこなくて、既存のアイディアの向上や刷新が中心になると思っていました。
しかし、本書では考えることを「技術」ととらえ、以下のステップが重要であると説かれています。
1.ゴールを決める
2.インプットして現状を整理する
3.考える=「考えを広げる」+「考えを深める」
ということです。
まず、1の「ゴールを決める」ですが、例えば悩みに対して。
「Aさんに嫌われているんじゃないか」と悩んだときに、どうすれば良いか考えるというケース。
この時、ただ闇雲にあれこれ考える前に、ゴールを設定すべきと本書には書かれています。
すなわち、ゴールを
「Aさんから嫌われないこと」
とするか
「Aさんと距離を置くこと」
とするかで、その後の思考プロセスが大きく変わってきます。
まずはこの「ゴールを設定する」をしっかり行えば、悩みの大半はクリアになると言われています。
次に、2のインプットですが、こちらは、関連する知識をまずはひたすらインプットすべきと書かれています。
そして、一通りインプットが終わったら、自分なりに整理して体系化する。
また、重要な注意点として「インプットした情報を疑う」ということも書かれています。
これは、新たに知った情報を、ただ鵜呑みにするのではなく、「疑う」「信じない」「ツッコミを入れる」などを実施してインプットした情報を取捨選択すべきと書かれています。
この当たりは、いかにも編集者らしいアプローチだと感じました。
3の「広げる」+「深める」は、次の項で書きます。
〜 To Do 〜 |
考える際は、ゴールを決め、インプットした後、広げる+深めるを実施する。 |
さて、1番のキモとなる、考えを「広げる」+「深める」についてですが、これは合計12の方法が紹介されています。
~広げる~
・かけ合わせ法
・数珠つなぎ連想方
・ずらす法
・脱2択法
・まとめる法
・あったらいいな
~深める~
・360度分解法
・ポジティブ価値化
・自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト
・すごろく法
・正体探し
・キャッチコピー法
たくさんの気になるワードがならんでいます。
できることなら全ての方法を詳細に説明したいのですが、それではもはや、この本を丸パクリコピーすることと何にも変わらなくなってしまいます。
気になる人は、是非原書で読んでみて下さい。
ここでは、1番学びがあった
「自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト」
について記載したいと思います。
これは、自身の考え方や意見に説得力をもたせる方法です。
まずは言葉の意味から書きますと、
自分ゴト:自分の関心があること
あなたゴト:家族、友人、会社の同僚など、自分と関係が深い人や親しい人に関係すること
社会ゴト」社会的関心や流行
となります。
そして、この3つが揃うと、人は関心を示したり興味を持つということだそうです。
以下、ものすごく納得したので、本書より引用いたします。
(以下、引用)
たとえば、僕はコーヒーが大好きなんですが、コーヒーショップの店員さんにこんなことを言われたら、そのコーヒー豆、即買いです。
「柿内さん、コクがあって、苦いコーヒーがお好きでしたよね?このコーヒー豆は、まさに柿内さん好みの味なんです。
しかも香りがすごくいいので、休みの日の朝、柿内さんがこのコーヒーをご自宅で淹れたら、家中にコーヒーのいい香りが充満して、奥様やご家族の方も気分良く週末の朝が迎えられると思いますよ。
ちなみに、この豆はフェアトレードの豆なので、原産国のコーヒー豆を作っているエリアの地域貢献にもなりますよ。」
(引用、ここまで)
見事に、自分ゴト、あなたゴト、社会ゴトが組み合わさった営業トークです!
こんなの、即買いに決まってます(笑)
こんなに上手に3要素を入れることは難しいかもしれませんが、自分が何かを売るときでも、相手に買ってもらう営業をする時でも、このような多面的な要素が盛り込まれていれば説得力が増すことは素直に納得です。
これから意識して、3要素を取り入れた説得や営業を実施しようと思います。
〜 To Do 〜 |
説得や営業は、自分ゴト、あなたゴト、社会ゴトを取り入れる。 |
いかがだったでしょうか?
本書には、今回紹介しなかった11のケースや、
「月1回の自分反省会」
という気になる習慣についても紹介されています。
企画や新商品立案、あるいは、自分のキャリアや日常業務の改善など、何かしらを考える機会と必要性はビジネスマンにとって身近な課題だと思います。
汎用的に使えるヒントが詰まった本ですので、是非原書を購入してお手元に置かれることをオススメします。
〜 To Do 〜 |
1.考えることは技術。学ぶことが出来る。まずは「考えることを始める」プロセスを意識する。 |
2.考える際は、ゴールを決め、インプットした後、広げる+深めるを実施する。 |
3.説得や営業は、自分ゴト、あなたゴト、社会ゴトを取り入れる。 |