『宝くじで1億円当たった人の末路』

2017年3月28日 第1刷発行

 

著者:鈴木 信行

 

発行者:高柳 正盛

 

発行所:日経BP社

 

【著者紹介】

日経ビジネス副編集長。

1967年生まれ。1991年慶應義塾大学経済学部卒業、同年日経BP社に入社。「日経ビジネス」、日本経済新聞産業部、「日経エンタテイメント!」、「日経トップリーダー」を経て、2011年1月より現職。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税、資産運用などを中心に取材。

(著者紹介より抜粋)

【オススメ度】  
読みやすい度 ★★★★☆
お役立ち度

★★☆☆☆

少数派が開き直る勇気もらえる度

★★★★★


世間は4連休ですね。

 

10数年前の今頃、初めて「シルバーウィーク」と呼ばれる秋の大型連休があった年、妻の実家兼出身大学である地方都市で、結婚式を挙げたことが思い出されます。

 

当時は、「プチ旅行に来たつもり」でと言いながら、社会人3年目の同窓生たちに集まってもらったものです。

 

あれから10数年、なんやかんやでここまで来ながら、旅行にも行けない環境下で、試験勉強をして過ごす中年になっているとは、あの頃からは全く想像がつきませんでした(笑)

 

次の10年はどんな生き方になるのか、想像がつかないから楽しみですね。

 

・・・このHPは続いているでしょうか、、、無理だな、きっと(笑)

 

それでは、今週の1冊です。

 

タイトルに惹かれて買いました。

 

どちらかというと、趣味の読み物的な色合いが強かったですね。

 

あまり、「自己啓発」チックな固い本では無いうえ、それぞれの事例は4~5ページにまとまっているので、読書初心者の方でも読みやすい構成になっています。

 

今回は、マイノリティな生活を続けている自分にとって、「そのままでも良い」と言ってもらえていると感じた点を3点ご紹介致します。


〜①:1億円当たった人の末路〜

 

宝くじで突然1億円当たった人の末路・・・

 

皆さんはどのように想像されますか?

 

・急に身の丈に合わない金額を所持して、困惑する。

 

・家族や親戚とのトラブルが増える。

 

・ビルを所有したり起業したりして、上手く資産を活用する。

 

色々想像出来ますね。

 

ただ、本書で紹介されているケースは、いずれも、残念なケースです。

 

つまり、大金を所持したり運用したりする準備も心構えもないまま、自由になるお金を手に入れる。

 

そうすると、あっという間に散財してしまうそうです。

 

まず、家族や知人に秘密にしようとしていても、急に羽振りが良くなったり、誰かに結局しゃべってしまったり。。。

 

急に資産を所有したことを隠し通せる人は、多くないそうです。

 

また、高級宝飾店でのVIPルームでの応対や、豪華パンフレット・インビテーションの誘惑、、、

 

"自分だけが特別待遇"に抗える人もまた、少ないそうです。

 

さらに、一生を有意義に過ごすには、一億円では少なすぎます。

 

サラリーマンの生涯年収は一億円~二億円程度と言われていますが、これは、活動時間の大半を労働に費やし、その対価としてサラリーを得ているから可能な金額です。

 

労働から開放されたら、その空き時間やリビドーは、どうしても消費活動に向いてしまいます。

 

すると、資産を獲得する術がないまま、貯金金額がズルズルと下がる様を目の当たりにしながら生活していくハメになります。

 

そもそも、人は不労所得を得ると冷静ではいられないと言われています。

 

ギャンブル等で一時的に得た所得ですら、浪費に使ってしまいがちです。

 

宝くじでの当選金なんて、どんなに有効活用しようとしても、今までと違う金銭感覚での使用なので、あっという間に散財してしまいます。

 

これは「斎藤一人」さんという、マルカンの創業者且つ日本の最高納税者がよく仰る格言なのですが、

 

「人の持てる資産の金額には、それぞれの器量に従って上限が決まっている」のだそうです。

 

ですから、努力や苦労無しに得た資産は、自分の器量の小ささに釣り合うまで、減ってしまうものだそうです。

 

やはり、得た資産を浪費しない努力・少しずつ増やす知識・有効活用する経験など・・・

 

「知恵と忍耐」を身に着けることこそ、資産家となるための王道なのだと、改めて感じました。

 

〜 To Do 〜

不労所得を当てにせず、知恵と忍耐を身につける。


〜②:友達ゼロの人の末路〜

仕事上、付き合いがある人は、社会人になってからも何人もできます。

 

ただ、「友達」と呼べる人は、果たしてどのくらいいるでしょうか?

 

このケースでは、友達が少ない代わりに、仕事上での付き合いを重視し、人間関係を緊密に取っている人々が登場します。

 

また、逆のパターンとして、仕事上での付き合いはほとほどにし、孤独を楽しむ人も登場します。

 

さて、皆様はどちらのケースを望みますか?もしくは、ご自身はどちらのケースに属しますか?

 

私自身は、仕事上の付き合いはほとんど重視せず、基本的に孤独に過ごしています。

 

ただ、「あまり他人と距離を置きすぎると、いざという時に誰も助けてくれなくなるのでは」という不安もあります。

 

本書には、この点についても言及されています。

 

答えは、「広く浅くの表面的な友達は、いざという時に助けてくれない」です。

 

そのため、本当に事が起こった時に助力をしてくれる人間関係は、「孤独を知った者同士」の間に生まれる、と書かれています。

 

確かに、自分自身を翻ってみると、例えば私財を投げうってでも助けたい人というのは、仕事上の付き合いの人では無く、ひょんなことから知り合いになって、そのまま何年も友人関係を続けている人達です。

 

その人達も、特定のコミュニティに属するのでは無く、自営だったりフリーランスだったり、生き方に「孤独」と「独立」を携えています。

 

大企業に養ってもらっている恩義とメリットを十分に感じつつ、孤独で地力が物を言う世界での活躍に憧れる自分もいます。

 

どんな選択をしても後悔しないよう、後から省みた時に「もっと努力しておけば良かった」などと恥ずかしい後悔だけはしないよう、日々精進していきたいと思います。

 

〜 To Do 〜
同調圧力に屈せず、孤独を楽しむ。

〜③:賃貸派の末路~

「持ち家か賃貸か」

 

永遠の論争とも言えそうなテーマですよね。

 

先に結論を書いてしまいますと、私は賃貸派です。

 

そして、この本でも、賃貸派を擁護しています。

 

ですので、賃貸派であることの賛成論を書いていきます。

 

(診断士を目指しているとは思えないほど、一面的な書き方になりますが;苦笑)

 

まず、賃貸派の最大の懸念点が、「老後の住むところ問題」です。

 

高齢者は賃貸が契約しずらく、路頭に迷うのではないか、という不安です。

 

しかし、本書によれば、高齢者であることを理由に賃貸を断る大家は、稀だといいます。

 

また、今は高齢者用施設や病院で最期を迎える人が多く、持ち家だとしても、最期まで住み続けることになるとは限りません。

 

つまり、持ち家でも賃貸でも、重要なことはキャッシュフローを確保しているか、にかかっています。

 

もちろん、持ち家で住宅ローンを完済してしまえば住居費は不要になるように感じます。

 

しかしながら、若い時には問題なかった立地でも、高齢による身体的衰えや、居住地域の衰退、はたまた、近隣住民の属性など、不可避のリスクは相応にあります。

 

そして、不動産単価が上がり続けていた時期であれば、ローン完済後に転売して都心への転居もありえたのでしょうが、自身が60代になる頃の不動産市況をピンポイントで予測することは不可能です。

 

まさに、30年後の不動産市況を予測するギャンブルの様相すらあります。

 

だとすると、持ち家を有利子負債で購入することは、借金でギャンブルすることとあまり変わりありません。

 

当然、自身のライフスタイルや家族構成がしっかり定まり、その上で持ち家を購入すること自体は、メリットのある選択肢であると言えます。

 

また、業績が安定している大企業でそれなりの地位にいれば、収入も安定し、ローンに対する悪影響も少ないでしょう。

 

今までの論調はあくまでも、子供を3人抱えつつ、互いの実家が地方にあって活用ができず、生涯に渡りサラリーマンを継続する気が無い、という私自身の環境を踏まえた結論です。

 

もっと安定した生活をしている方であれば、都心のマンションを購入することが、通勤上・将来の棲家確保上、メリットがあると言えます。

 

これを言ってしまったらお終いかもしれませんが、そもそも、成熟社会に入った現在の日本において「持ち家派」か「賃貸派」かという2者選択をすること自体、ナンセンスな問いなのでしょう。

 

それぞれの価値観と生活スタイルがあり、従業員の労働年数が企業の存続年数を上回る時代でもあり、画一的な●●派というものは存在しえないと言えます。

 

住居に関しては、どちらを選択するにせよ、冷静に情報を集めた上で「正しく恐れる」姿勢が肝要ですね。

 

広い見聞をもって、自分なりの根拠を持った上でスタイルを確立していく。

 

仕事にしろプライベートにしろ、周りに流されない大方針をもって生きていきたいものです。

 

〜 To Do 〜
情報を集め、活用し、正しく恐れる。

〜まとめ〜

本書は、様々なケースを「●●の末路」と題して、生き方や在り方を論じています。

 

そして、本書のあとがきにもあるのですが、その根底には「マイノリティの矜持」があります。

 

良くも悪くも、成長社会の日本には「みんな一緒」の成長ベクトルがあり、幸福のロールモデルがありました。

 

そして、大衆派というか同調圧力から外れた者を、マイノリティとして社会の輪から外れた存在としてきた空気がありました。

 

しかし現在は、大衆派に属していることが幸せに繋がるワケでは決してありません。

 

自分自身の価値観を見出し、納得解を出し、恐れず進んでいく勇気が試されているのだと思います。

 

安定企業の代名詞のようなメガバンクに属しながら、出世競争にもノルマ達成にも、過去の「●●さんを囲む会」にも全く興味示さず生きている私にとって、非常に心強い一冊でした。

 

これからも、日々の生活と将来の選択肢について、悩んで迷って、答えを見つけながら生きていきたいと改めて思いました。

 

〜 To Do 〜
1.不労所得を当てにせず、知恵と忍耐を身につける。

2.同調圧力に屈せず、孤独を楽しむ。

3.情報を集め、活用し、正しく恐れる。