『バカの壁』

2003年4月10日 第1刷発行

 

著者:養老 孟司

 

発行者:佐藤 隆信

 

発行所:株式会社新潮社

 

【著者紹介】

1973年神奈川県鎌倉市生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年東京大学医学部教授を退官し、現在北里大学教授、東京大学名誉教授。著者に「唯脳論」「人間科学」など。

(著者紹介より抜粋)

 

【オススメ度】  
読みやすい度
お役立ち度
もう一度読みたい度 ★☆

 


更新がスッカリ遅くなってしまい申し訳ございません。

 

先々週は長女がインフルエンザを発症しましたが、先週は長男が同じくインフルしまして、看病していました。

 

長女の小学校のクラスは、学級閉鎖になりました。

 

この時期、手洗いウガイは必須ですね。

 

・・・家族の中で一人ケロリンパとしている自分は、やはりバカなのでしょうか・・・

では、今週の一冊です。

 

バカ繋がりではないのですが、大分前に流行った本からです。

 

「バカの壁」

 

インパクトあるタイトルですよね。

 

いったい、どんな内容が書かれているのだろうと、想像できずに取り敢えず購入しました。

 

で、読み終わった感想ですが、正直に申し上げますと、「期待外れ」でした。

 

もしかしたら私の読書量が不足しており、この本を楽しむ力量が無かったのかもしれません。

 

まがりなりにも、「平成で最も売れたビジネス書」であり、440万部を超える大ベストセラーです。

 

さも、高尚且つ目からウロコ的な言説が詰まっているのかと期待していました。

 

しかし、本書は世の中の様々な事象や問題を、養老孟司が独自の目線で切り込んだ意見が種々語られているものでした。

 

そもそも、冒頭に「本書は新潮社の編集部が、筆者の独白をまとめて文章化した本」と書かれています。

 

つまり、何かのテーマを体系的に書いた本ではないということです。

 

では、タイトルの「バカの壁」とは何なのか?

 

実は、ハッキリとは明記されていません。

 

まえがきには、「結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。そいういうつもりで(バカの壁という言葉を)述べたのです」とあります。

 

結局何が言いたいのかよく分かりませんでしたが、私は、「養老孟司」の考え方や意見をまとめた本にキャッチーなタイトルを付けるために、編集者が選んだワードであると結論つけました。

 

したがいまして、「バカの壁」というタイトルに引っ張られても有益な情報は得られないと思い、以下の考え方だけご紹介致します。

 


〜脳の中の係数〜

知りたくないことに耳を貸さない人間に話が通じないということは、日常で良く目にすることです。

 

これを脳の面から説明すると、以下のようになります。

 

全身の五感から入った入力は、情報として脳に伝えられ、何らかの反応として出力されます。

 

この入力をx、出力をyとすると、y=axという1次方程式のモデルが考えられます。

 

このaという係数は、「現実の重み」と言い換えられるもので、人によって・入力の内容によって様々に変化するものと説かれています。

 

例えば、道端を歩いていて足元に虫を見つけたとします。

 

虫に興味が無い人は、虫に気づいても何のアクションも起こしません。係数aは限りなくゼロに近いです。

 

逆に、昆虫採集が大好きな小学生男子は、昆虫を見つけると喜んで捕まえに全力を尽くします。係数aは大きな数字です。

 

また、私のように虫が大の苦手な人にとっては、係数aはマイナスとなり、回避行動を取るでしょう。

 

このように、係数aは人により、入力内容により大きく可変です。

 

そして、さきほど挙げた例のような、知りたくないことに全く耳を貸さない人は、この係数aが0である人ということになります。

 

では、反対のaが無限大である人はどんな人かというと、いわゆる原理主義者であると本書では書かれています。

 

つまり、ある信条・情報がその人の絶対的価値になり、その人の行動を全て支配することになるのです。

 

現実問題として、係数がゼロや無限大である人はそう多くはいません。

 

しかし、そんな人間は非常にヤッカイです。

 

なぜなら、超無気力であったり、テロリストのような過激な行動に出る可能性があるからです。

 

・・・と、このような話が1章使って書かれています。

 

この考え方自体はその通りだなぁと思うのですが、正直、「で、だから何?」という感じです。

 

まぁ、自分には理解の範疇外な人に出会ったときに、そういう人もいるよね?と理解する際には役に立つかと思いました。